
はじめに
前回は、新型コロナウイルス関するインドネシアのスタートアップの対応について記事でまとめてみました。今回は、新型コロナウイルスという予測不可能な事態により特定の産業が直面をした課題について記します。通常通り、2020年3月22日 ~ 4月9日のスタートアップニュースも取り上げています。
特別コラム
ジャカルタでは4月7日に大規模社会制限(PSBB)の実施が発表された。それに伴い、4月10日から2週間の間、学校および公園・博物館などの娯楽公共施設の閉鎖、公共交通機関への大幅な制限、ビジネスもいくつかの分野の例外を除き事務所での活動が停止されることとなった。
#バイクタクシー
インドネシアでは、Ojekと呼ばれるバイクタクシーが普及しているが、今回の大規模社会制限によりバイクタクシーは利用禁止となった。オンライン配車サービス大手のGojekとGrabは大きな打撃を受けることとなる。
しかし、フードデリバリーは引き続き利用可能なので、バイクタクシーのドライバーが途端に収入がなくなるというわけではない。その他にも電車やバスやタクシーなどの交通機関には人数制限が設けられている。More here
#Eコマースの物流
いくつかのスーパーは営業時間を短縮したり、人数制限の措置を取ったりしたことで、多くの人がオンラインで食料品や生活必需品が購入できるECサイトに殺到した。
例えば、野菜やお肉などの生鮮食品をオンラインで注文できるTaniHub、Kedai Sayur、HappyFreshなどのプラットフォームのアプリのダウンロードや注文数は激増した。
しかし、急激に増えた注文に大して物流サイドのキャパシティが追いつかず、多くのユーザーは配送が遅延をしたり、配送不可で注文ができないといった状況に直面した。特に、当日配送のサービスでの遅れが目立った。
このような事態への今後の対策として、各社は配送ドライバーの増加、一部の商品の購入制限、サプライヤーとの頻繁なコミュニケーションを行うなどの対応を行った。More here
#マイクロ融資
今回の新型コロナウイルスの影響で多くの個人事業主の収入が減少したことにより、手元の資金を確保するためにマイクロ融資へのリクエストが殺到した。特に、小さな商店のオーナーやバイクタクシーのドライバーなどからの需要が増えた。
しかし、新型コロナウイルスによる不景気が長期化することで債務不履行のリスクも高まることから、UangTemanのようなP2P融資プラットフォームは、リスク評価の基準を厳しくしている。More here
スタートアップニュース
シンガポールのレストラン事前予約・決済アプリのEatsyがインドネシア市場から撤退
Eatsyは昨年11月にインドネシアでリリースをされたが、新型コロナウイルスの影響が同社のビジネスにおよびインドネシア市場から撤退をすることとなった。
Eatsyのサービスはユーザーが事前にレストランの食事の予約をすることで、列に並ぶといった面倒を削減するというものだ。フードデリバリーなどを展開しているGojekとGrabも同様のサービスを今年の1月に開始をしていた。
エドテックサービスのZeniusがGojekと提携しGojekのアプリ上で無料のレッスンを提供
今回の提携によりユーザーはGojekのアプリを通じてZeniusのサービスにアクセスができるようになる。小学生から高校生に、8万以上の教材動画や演習問題、勉強計画機能、オンラインでの授業の配信などが提供される。
Agaeti VenturesとConvergence Venturesが合併しAC Venturesとなる
兼ねてから噂のあった2社は正式に合併したことを発表した。投資領域はこれまでの両社のEコマース、デジタルコンテンツ系のサービス、Fitntech、中小企業向けのテックサービスと言った領域を引き継ぐことになる。
資金調達ニュース
ロジテックスタートアップのKargo Technologiesがコカコーラインドネシアより戦略的出資を受ける
投資はCoca-Cola Amatil IndonesiaのCVCアームであるAmatil Xより行われた(額は非公開)。Kargo TechnologiesはこれまでにSequoia IndiaやUberの共同創業者のTravis Kalanickのファンドから760万ドルのシード投資を受けている。
Kargo Technologiesは一般の企業の配送ニーズとトラックを保有する事業者のトラックの空きスペースのマッチングを行っている。
アグリテックスタートアップのTaniHubがシリーズAラウンドで170万ドルを調達
投資はOpenspace Ventures、Intudo Ventures、UOB Venture Management、 Vertex Ventures、BRI Ventures、Tenaya Capital、Golden Gate Venturesより行われた。
TaniHubは二つのサービスを展開している。一つ目は農家と個人消費者やスーパーやレストランなどが繋がれるEコマースである。二つ目は農家向けのP2P融資のプラットフォームを運営している。
P2P融資のInvestreeがシリーズCラウンドで2350万ドルを調達
投資はMitsubishi UFJ Financial GroupのベンチャーアームであるMUIP、国内最大の銀行BRIのベンチャーアームであるBRI Ventures、SBI Holdings、China’s 9F Groupより行われた。
会計アプリのBukuWarungがEast Venturesなどからシード出資を受ける
East Venturesの他にはAC Ventures、Golden Gate Ventures、Tanglin Venture Partners、Michael Sampoernaなどが投資に参加した。
BukuWarungはアプリを通じて中小企業の簿記の業務のデジタル化を促進している。
IoTスタートアップのWebtraceがシード出資を受ける
出資はPrasetia DwidharmaとAstra Venturaの2社のVCによって行われた。
WebtraceはIoTデバイスを通じてバスや商用車などの乗り物の位置情報や移動データなど収集するテレマティクスサービスを提供している。
オンライン学習サービスのProSparkがプレシードラウンドの出資を受ける
出資はAgaeti Venture CapitalとPrasetia Dwidharmaの2社のVCとエンジェル投資家から行われた。
ProSparkは企業の人事部向けに従業員のオンライン研修などを行えるSaaSプラットフォームを提供している。
ロジテックスタートアップのRara Deliveryが500 Startupsなどからシード出資を受ける
出資額は83万ドル以上と言われている。500 Startupsの他にはエンジェル投資がシンジケートで投資に参加した。
Rara DeliveryはECサイトの当日配送をテクノロジーで支援するスタートアップである。独自のアルゴリズムを通じて、ECサイトの大量の注文を重量・サイズ・梱包の種類・リアルタイムの渋滞状況・配送経路をもとに最適化を行っている。
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